学生が時計台を占拠、大学職員と激突

2020/12/09

調査報道

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学生が時計台を占拠、大学職員と激突



(上写真)はしごを巡って学生と大学職員が激突

(上写真)一段目への登頂に成功した学生たち


 11月28日の昼休みに、熊野寮祭時計台コンパがクスノキ前で行われ、かつて恒例行事であった時計台占拠が2017年以来3年ぶりに行われました。当日は午前中から時計台記念館前に職員が大挙して集まり、カラーコーンで周囲を封鎖するという異様な光景が見られました。正午になると梯子を持った学生たちが一斉に入構し、職員の暴力的な妨害のなか時計台に梯子をかけ、12時36分、最初の一人が多くの学生の歓声のなか時計台の一段目へ登頂を果たしました。その後も多くの学生が続々と登頂を果たしましたが、12時50分ごろ遂に機動隊が構内に侵入する事態となりました。


(上写真)構内に侵入した京都府警


 企画に先立ち当局側は告示第4号を発布し、時計台占拠を「一歩間違えば生命・身体に関わる大きな事故につながる極めて危険な行為」、また「建造物侵入として刑法に抵触する行為」であるとして、この企画を主導・参加した団体や個人に学内処分を行うことや、警察への通報を行うといった法的処置を行うと明言していました。しかし、京都大学の時計台に京都大学の学生が登ることが建造物侵入になるとは到底考えられません。また、告示では「熊野寮自治会は、(中略)危険な企画を実施してきた。」とありますが、過去何度も行われてきた時計台占拠ではけが人も学内処分もほとんど無く、当局は近年急激に規制が強化されたことを隠そうとしています。

 さらに、現場では告示に記されていないにも関わらず寮生による酒類やおでんの提供を「本学の許可なく本学の敷地を占有する行為及び飲食を提供する行為は認められません。」と書かれたプラカードを掲示して中止させようとしていました。このプラカードには特に感染症対策のためなどとは記されていなかったため、今後も同様の行為が弾圧される可能性もあります。また、今回機動隊が大勢入構しましたが、2014年に私服警官が京大構内に無断侵入した事件で、当時の副学長は「事前通告なしに警察官が構内に立ち入ることは誠に遺憾です。」とコメントしていました。もちろん、今回の警察導入は恐らく当局の通報によるもので無断入構であるとは考えられませんが、違法行為とはいえない学生たちの集会に対して警察を導入する当局の姿勢は、2014年当時の姿勢と明らかに矛盾しており、大学として「学問の自由」すらないがしろにしています。

 今回の時計台占拠に際して熊野寮自治会は声明を発表しました。以下はその一部です。「このように執行部や役員会は対話を拒み、学生の権利や生活を蔑ろにし踏みにじってきました。話し合いのできない相手に対して穏当な手段をもって対話の場に出てきてもらうことはとても困難です。しかし、学生はかつて集まって行動することにより、数の力で大学の対応に変化をもたらしたことがあります。熊野寮自治会の設立こそがその一例です。今こそ、時計台を登ることによって、多くの学生が共通の目的に向かって一丸となって行動を起こすことができるということを示し、大学からの不当な圧をはねのけ学生の権利を守るための対話に応じさせる必要があると考えます。」

 近年の京大当局は政府の号令のもと「大学改革」を推し進め、一方的なカリキュラムの改変や立て看板規制を学生との合意のないまま決定し、現場で職員に逆らった学生に対して、無期停学処分などといった見せしめ処分を下して学生を委縮させ(前号『学生処分問題を考える』参照)、また最近では法学部が公認自治会である法学部自治会が学生投票を経て決議した要求書を黙殺(12月3日現在・回答期限は11月30日であったが、形式的回答すらなされなかった)するなど、おおよそ「対話」や「自由」の学風を標榜する大学とは思えない暴挙を繰り返しています。熊野寮自治会のみならず我々同学会や学部自治会も要求書の提出や署名提出などの「穏当な手段」によって当局と対話をすることを行ってきましたし、これからも引き続き行っていきます。しかし、当局がそれすらも取り合わない状態が続いた結果、学生の中にも諦めのムードや冷笑的な態度が多く見られるようになっていきました。確かに、時計台に登ったからといって当局がすぐ降参して処分を撤回したり、理不尽な課外活動の規制をやめたり、学費を減免するわけではないかもしれません。それでも、今回の時計台占拠により団結した学生が何を為しうるかが実証されたのです。当局や社会、そして何より学生達自身に対して。

 昨今、学術会議の任命拒否や高すぎる大学の学費などが社会問題化しています。こういった学問の自由や学生の生活に直接的に関わる問題にまず取り組むべきは、キャンパスにいる学生自身であるはずです。確かに学生一人一人の力は限られていますが、学生が団結すれば、大学や学問に対する攻撃に一矢報いることだってできるはずです。

 今後時計台占拠を理由とした学内処分が大量に出ることが予想されます。こういった弾圧の本質は当該を社会的に孤立させ、また関係人物を委縮させることで運動から引き離すことです。わたしたちはこれらの処分に対して、「誰一人見捨てない」という信念のもと全学自治会として徹底的に闘っていきます。

(調査報道部)


追記:12月3日付で京大当局は「百周年時計台記念館車寄せ屋根上に侵入した行為について」と題する声明を発表し「法的措置を含め厳正に対処する」と宣言しました。これに対し、近く執行委から抗議声明を発表する予定です。


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