20200327代議員会
情勢
大学もまた、社会の中に存在している。京大当局がやってきている規制や弾圧の背景には文科省があり、政府があり、それらはその時々の社会情勢に規定されて政策を打っている。京大で起きていることは社会情勢の反映だ。だからこそ、京大を変えることは社会を変えることであり、情勢の分析が非常に重要になる。
現在最も焦点になっているのは、とにかく新型コロナウィルスの問題だろう。全世界的に感染が広がり、死者が増加しているだけでなく、実際の生活においても多大な影響が出ている。東京では外出を自粛するよう指示が出された。そして大学においても卒業式・入学式の中止、授業開始の延期、新歓イベントの禁止などが進められている。
こうした中、わずか3日間の審議で3月13日に新型コロナ特措法が成立(改正)し、その後対策本部が設置された。緊急事態宣言が秒読みとなっている。実際に発動されれば、都道府県知事を通じて住民の外出・移動の制限やイベントの中止、学校や公共施設などの使用制限・閉鎖など、デモや集会も含めて人が集まること全般を禁止できるようになる。「医療施設の整備」のためと言えば、土地や家屋の強制収用も可能だ。さらにはNHKを含む「指定公共機関」(法令で拡大可能)に指示して報道規制を行うことすらできる。しかも国会の事前承認も必要ない。
さて、こうした国家の強権発動は「感染拡大を防ぐため、人命のためだから仕方ない」のだろうか。断じて否である。もともと改正前の特措法でも感染拡大防止のさまざまな施策は可能だと言われていたし、そもそも安倍政権はオリンピック開催のために検査体制を築くことすら怠ってきた。さらに、1月30日の段階で自民党幹部の伊吹文明が「感染拡大は憲法改正の大きな一つの実験台。緊急事態の一つの例」と語っている。具体的な感染防止の施策が必要な時に、なんとオリンピック開催と「自民党建党以来の悲願」である改憲のことしか考えてなかったのだ。
緊急事態条項は自民党の改憲草案では、「外部からの武力攻撃」「内乱等による社会秩序の混乱」「地震等による大規模な自然災害」などに対して発するとされている。要するに戦争(安保法成立により「自衛のため」と称した侵略戦争が可能になっている)のための国家総動員と、60年・70年安保闘争のような激しい学生運動・労働運動の鎮圧が主題なのだ。
※ 株価大暴落ー資本主義の限界と世界戦争への動き
※ 営利こそが優先される。医療崩壊の現実。
コロナ情勢は、改憲=戦争国家化の目論見を前提にして進んでいる。安倍政権にとってみれば、国威発揚としてのオリンピックを延期せざるを得なくなった今、緊急事態宣言を躊躇する理由は存在しない。そこから始まるのは、「感染拡大の防止」を名目としたあらゆる抵抗運動への徹底した弾圧である。それは例えば全日建運輸連帯労組関西生コン支部への常軌を逸した弾圧として、あるいは京大におけるこのかんの弾圧として、さまざまに開始されていたものをもっとドラスティックに進めていくことになるだろう。
さて、こうした背景を確認したうえで改めて大学をめぐって何が起きているのかを確認しよう。象徴的には東京大学でサークル活動・新歓活動が全面禁止されたことに表れている。九州大学でも同様の措置が取られており、実際に公表された以下に文書を載せる。
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サークル活動及び新歓活動禁止!
新型コロナウィルス拡散防止のため、下記の期間はサークルの活動及び新歓活動を禁止とします。
期間:令和2年4月1日(水)~4月14日(火)
※感染拡大の状況により、期間延長の可能性があります。
★サークル活動等禁止期間に勧誘を受けた場合、下記のことに留意してください。
・大学内での学外者の勧誘は認めていません!
・学生と思われる人から勧誘された場合でも、学生証の提示を求めて、勧誘禁止期間であることを伝え、対応しないこと!
・もし、勧誘を受けても、個人情報(指名、所属学部、LINE、電話番号、住所など)は決して知らせないこと!
・勧誘を受けて困ったことや不安なことがあったら、下記の担当窓口へ相談してください。
学務部学生支援課 課外活動支援係(電話:092-802-5966)
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いかがだろうか? 感染防止を名目にしつつ、実際に言っていることは「学外者の勧誘禁止」「個人情報を教えるな」といった内容である。要するに、学生が学外=社会とつながることや、学生が集まって主体的に活動すること自体を否定しているのである。さらに他の大学についてもいくつか見ていく。
明治大学・・・新歓活動週間を中止したうえで、SNSで発信されている新歓イベントへの参加を自粛せよ、政治セクトやカルトが関わっているかもしれないと非難
同志社大学/広島大学など・・・4月20日まで新歓活動の禁止
横浜国立大学・・・新歓活動はSNS等に限る(学外もアウト)。違反が発見された場合はSNSでの新歓活動も禁止に。罰則も検討。
そして京都大学においては、川添副学長名義で課外活動の自粛要請や、新歓活動の見直しが指示されているだけでなく、クスノキ前という解放空間における卒業イベントをSNSで呼び掛けていることに対して告示まで出したのである(当日にクスノキ前に学生が集まったのに対して弾圧はできていない)。
京大当局は授業開始を遅らせることはせず、語学や実験など「安全性を確認した(!?)」授業を行い、それ以外はオンライン授業にするという。これ自体が新歓妨害であると同時に、自分たちは講義室での授業を敢行する一方で、しかし学生が自分たちで安全を確保して新歓活動を行う事には敵対している。大学自治への敵対を超えて、学生を主体として認めず、ただただ大学の言うことを聞いて就職活動をする「消費者」として固定化するものだ。
今後、コロナの感染はますます悪化していくことは容易に想像できる。ここで学生が「自粛」に追いやられて活動停止に追いやられるのではなく、意識的に新歓活動を継続することが重要だ。
※ バイト減による収入問題・・・そもそも大学改革ー学費高騰ー教育のサービス化の問題
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