湊長博京大新総長に要求書を提出しました

2020/10/02

声明・申入書

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  10月1日付で湊長博氏が京大総長に就任したことを受けて、この10年間で進んできたさまざまな改革や規制・弾圧について、改めて同学会執行委員会名義で要求書を提出しました。


要求書


国立大学法人京都大学 御中

京都大学総長 湊長博 殿


2020年10月1日

京都大学全学学生自治会同学会執行委員会


 松本紘氏・山極壽一氏が総長を務めていたこの10年間で、様々な改革や規制が進められました。学生の自主性を無視したカリキュラム変更、文化・表現活動に対する大幅な規制強化、自治活動への妨害や弾圧など、学生生活に大きな不利益を生じています。こうした問題に対して同学会執行委員会は何度も申し入れや要求を行なってきましたが、すべて無視されてきました。

 この度、10月1日付で湊長博氏が新総長に就任し、役員会の体制が刷新されたことを受けて、改めてこれまで進められてきた規制・改革について学生との話し合いの場を設定し、以下の要求に応じるよう求めます。


 ① 学生の自主性を奪うカリキュラム変更の是正を求めます

 ② 学生の課外活動への規制をやめるよう求めます

 ③ 学生の表現の自由を奪う規制を撤廃するよう求めます

 ④ 学生への暴力的な弾圧を止め、すべての不当な学生処分を撤回するよう求めます

 ⑤ 同学会をはじめとした学生自治会への弾圧を止めるよう求めます

 ⑥ 過去の侵略と戦争の歴史に向き合い、誠実な対応を取ることを求めます

 ⑦ 総じて、学生との話し合いを再開するよう求めます


 返答文書については、10月23日までに弊会のメールアドレス(dougakukai.kyoto@gmail.com)に送信するか、ホームページ上で公開するよう求めます。


 以下に、要求項目の詳しい内容を述べます。


① 学生の自主性を奪うカリキュラム変更の是正を求めます

 この数年で、政府・財界からの「グローバル人材育成」の要求に応える形で、京都大学のカリキュラムは大幅に増強されてきました。2016年度から多くの学部で卒業に必要な取得単位数が大幅に増えました。また、リスニング教材GORILLAの導入、TOEFL-ITP試験の成績への参入など、英語科目が増強されました。

同時に、学生の科目選択の自由が制限されています。成績評価で競争させるGPA制度と、履修科目数を制限するCAP制を導入・強化したことで、成績に関わらず興味のある分野を学ぶ機会が奪われています。また、単位取得に必要な課題や出席義務が増加し、様々な科目を履修することが困難になっています。さらに履修登録期間が前倒しになり、履修前に授業内容を確認することすらできなくなりました。

学生の自主性を否定し、単位取得=卒業資格のみを目的とした無味乾燥な「お勉強」に縛りつけるこれらの改革は、京都大学がその理念として掲げる「自学自習」にも反しています。カリキュラムの是正を求めます。


② 学生の課外活動への規制をやめるよう求めます

 京都大学当局は、11月祭の運営に対して日程短縮・飲酒規制を強要したり、全学公認団体の条件となる制約内容や顧問の人数を増強したりするなど、学生の課外活動への規制を進めてきました。

さらにコロナ禍を受けて、学内の施設使用を制限するだけでなく、活動そのものを制限しています。現在その制限は若干緩和されていますが、それでも厳しい条件や大学への申請・報告義務を課しており、さらに学外者を含むインカレ活動を認めていません。そして非公認団体に対しては対面での活動を一切認めないとしています。

 学生の課外活動は、大学の正課のカリキュラムとは異なる自主的な活動であり、そもそも大学当局が制限できるものではありません。京都大学の持つ公認や学籍に関する権限を背景にした学生の自主的な活動への不当な制限に抗議し、規制を撤廃するよう求めます。


③ 学生の表現の自由を奪う規制を撤廃するよう求めます

 京都大学当局は、この数年間で表現の自由を侵害するさまざまな規制を進めてきました。学内での集会・イベント開催に対して職員が弾圧するようになりました。拡声器の使用や入試期間中の宣伝行為も禁止されました。さらに立て看板規制については、多くの学生が反対しているにもかかわらず強行され、毎日職員が巡回して、学生が多大な労力をかけて作り上げた立て看板を即座に撤去する事態となっています。

 大学は学問・教育の場であり、さまざまな意見・思想・主張などが自由に表現できる場であるべきです。学生の表現活動を不当に制限し、それどころか職員による暴力的な弾圧や懲戒処分によって学生を萎縮させる京都大学当局のあり方を許すことはできません。学生の表現の自由を奪うこれらの規制を撤廃するよう求めます。


④ 学生への暴力的な弾圧を止め、すべての不当な学生処分を撤回するよう求めます

 同学会中央執行委員会の反戦バリケード・ストライキに対して、京都大学当局が2016年7月に行った4名への無期停学処分以来、学生への暴力的な弾圧がどんどん強化されてきました。被処分者に対する職員のストーキング・無断撮影・暴力的な追い出しなどの業務にとどまらず、大学当局に抗議する学生に対して逮捕・懲戒処分を繰り返すようになっています。

 今や「職員への抗議」や「職員の命令に従わなかったこと」すら「学生の本分に反する」として処分理由とされています。学生の本分とは、批判を飲み込んで大学当局の命令に唯々諾々と従うことなのでしょうか。抗議や批判すら許さないこれらの弾圧は、民主主義を根本から否定するものです。

 特に安田淳敏に対する無期停学処分は、職員による暴行の事実をなかったことにして一方的に「反省」を強要し、2年半以上たった今も停学の解除すら行われていません。未だキャンパスへの立ち入りを禁止し、年間54万円の授業料の支払いを命じ続けています。

 学生の生活を脅かして隷従を強いる大学当局の姿勢を認めることはできません。学生への暴力的な弾圧を止め、すべての不当な学生処分を撤回するよう求めます。


⑤ 同学会をはじめとした学生自治会への弾圧を止めるよう求めます

 京都大学当局は一貫して私たち同学会執行委員会を認めず、話し合いの要求や学生から集めた意見・要求を無視し続けるだけでなく、露骨な弾圧を繰り返してきました。また、学部自治会・寮自治会などに対しても交渉を拒否し、吉田寮自治会に対しては一方的に確約を破棄して寮生の追い出しを求める裁判を強行しています。

 学生自治会は学生が自らの活動を自主管理するために、そして学生の意見を集約して大学と交渉するために不可欠な組織です。しかし京都大学当局は、「ガバナンス強化」=総長・役員会の独裁的権限の強化を進めると同時に、教授会の権限を縮小し、学生自治会への弾圧を強めることで教員・学生の意見を圧殺してきました。大学の自治を否定した役員会独裁に抗議するとともに、同学会をはじめとした学生自治会への弾圧を止めるよう求めます。


⑥ 過去の侵略と戦争の歴史に向き合い、誠実な対応を取ることを求めます。

 京都大学当局は、かつて帝国大学として侵略と戦争に加担してきた負の歴史をなかったことにするような政策を進めてきました。2014年に医学部資料館から戦中に人体実験を行った『731部隊』の展示が撤去され、さらに人体実験をもとに執筆された疑いのある学位論文に関する調査要求に対し、「調査を実施しない」と不誠実な態度をとっています。また、1929年に百按墓から持ち出した琉球民族の遺骨の返還要求も拒否して、現在裁判が進行しています。

 さらに最近においても2008年から2016年の間に少なくとも2070万円米軍マネーが流れ込み、軍事研究が行われていたことが明らかとなっています。京都大学当局は2018年に「軍事研究を行わない」とする声明を発表しましたが、重要なことは侵略と戦争の歴史を繰り返さないという立場を行動で示すことです。『731部隊』や遺骨返還の問題について、誠実な対応を取ることを求めます。


⑦ 総じて、学生との話し合いを再開するよう求めます

 京都大学ではかつて、学生団体と大学当局との間の団体交渉によって、意見のすり合わせや討論による合意形成を日常的に行ってきました。しかし京都大学当局は今や学生との確約破棄や団体交渉の拒否を行い、学生に対する情報公開連絡会も廃止しました。そして学生の意見を無視した一方的な改革や規制を強行しています。そして上記に述べた通り、一方的な改革や規制は明らかに大学の教育や学問のあり方を歪めるものとして進行しています。

 山極総長は対外的には「対話を重視する」と主張し続けてきましたが、ついぞ学生との対話の機会が設けられることはありませんでした。改めて、こうした問題について、そしてこれから起きてくるであろう様々な問題について、学生と真摯に話し合うことを求めます。


以上


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